第1話 梔子と橘の話

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 少し黙った後に、息を整えて、吟遊詩人が物語のはじまりを告げるように、抱えていた異国の琴の弦を爪弾く。そして、数音だけ音を弾いた後に、手を止めて言った 「………音楽に変えることができるほど遠い思い出には、まだなっていないみたいだ。言葉だけで語ることを、許してほしい」
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