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顔に纏わり付き威嚇の声を上げながら嘴や脚の爪で容赦なく襲いかかってくる猛禽類に、ドラゴンとの視界を阻まれる。
「!!カールベルクの『鳥の魔法使い』か」
新しく即位したばかりのカールベルク女王付の魔法使いがそのような魔法を使うと聞いて、宮殿の魔法使い達が、諜報対策として宮殿付近一帯に鳥避けの魔術を施していたことを思い出す。
「この大鷲は……まさか」
『気付くのが遅えんだよ』
心を読まれたのか、背中から声がする。激痛が走り、背に大きな爪が食い込んでいく感触。次に、誰かが背中から首へと駆け上がる感覚。王座の肘掛けに辛うじて掴まり、ドラゴンに命令を降そうとするも、自分の視界には無数の翼と嘴、爪しか見ることが出来ない。思わず唇を噛む。
「人間如きに何が出来る」
『おいおい、心までドラゴンになってやがるのか。本当はあれは貴様みてえな奴が操っていい生き物じゃあねえ。覚えておくんだな』
日が傾きはじめている。夜になれば『鳥』である相手の方が圧倒的に不利なはずだ。身体を大きくしならせようとした途端、首の後ろに痛みが走り、何かが銀の鎖の下に捻じ込まれていく。
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