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男が髪を結び終え、小鳥でも運びやすいように薄く軽い紙に綴られた手紙を手にとって、眉を寄せる。
「………で、東の島、か。金銀財宝欲しさに帝国あたりが動き出したのかもしれねえな。うちの国にとってもあまり良くねえ話だ。陛下にも伝えておくぜ。島の様子も、海鳥や渡り鳥達に聞いてみるとすっか………」
城仕えらしからぬ伝法な口調の男。かつてミーンフィールド卿と冒険の旅を共にした10歳年下の親友、『鳥の魔法使い』ファルコが言った。
「あいつは元気か。まあ元気だろうな。陛下ときたら毎回毎回俺経由であいつにお見合い用の肖像画を送りつけようとして困る。………お前だって困るだろ?」
『……そうね』
ファルコが片方の眉をちょっとあげて、自分の『部下』でもある小さな小鳥をちょいちょいと指先で撫でてやる。
「難儀な奴だなあ」
『知ってるわ。いつかご主人様がこの世で最高の魔法使いになったら、私を最高に可愛い人間の女の子にしてくれるって聞いたけど?』
「その日が来たらお前の肖像画を着払いであいつに送りつけてやるから安心しろ。あの堅物のどこがいいんだか」
『ご主人様だって陛下のこと』
「それはバレたら死ぬしかねえやつだな」
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