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ロッテとエレーヌが顔を見合わせて笑いをこぼす。そんな彼女達を前に、床にめり込みそうな溜息をひとつついてから、ファルコが言った。
「それで思い出した。ロッテ、こいつを届けてくれ。ゴードンからの頼まれものだ」
寝起きの頭を掻きながら立ち上がり、ファルコが机の上の小さな包みを手に取った。
「………島で鳥達に集めさせた植物の種だ。あいつが育てて上手いこと育ってくれれば、例の島で何があったか草花から聞き出せる。時間はかかるが確実だ。島には海鳥を派遣した。こっそり様子を見てこい、ってな」
小さな包みに結んだ紐を、ロッテの脚に結んでやった。
『ご主人様にきちんとお仕事させるなんてやっぱりゴードンさんってすごい人よね。しっかり伝えるわ。まかせてちょうだい!』
ひらり、とロッテが舞い上がる。
「爪の垢はいらねえからな!」
微笑みながらロッテを見送り、エレーヌが振り返る。
「………周辺諸国に届けて欲しい手紙があります。内密で」
蜂蜜のように明るい瞳が、少しだけ険しいものに変わる。
「………帝国のことか」
「騎士団の1席から4席には私から今朝伝えます。3席は休養中ですが。……周りの国にも、こっそりと通達しておこうと。突然海を渡ってまで沢山の金銀財宝が必要になった、ということは何かが起きる可能性もある、ということです」
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