第2話 針の騎士は花を描く

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 ロッテとエレーヌが顔を見合わせて笑いをこぼす。そんな彼女達を前に、床にめり込みそうな溜息をひとつついてから、ファルコが言った。 「それで思い出した。ロッテ、こいつを届けてくれ。ゴードンからの頼まれものだ」  寝起きの頭を掻きながら立ち上がり、ファルコが机の上の小さな包みを手に取った。 「………島で鳥達に集めさせた植物の種だ。あいつが育てて上手いこと育ってくれれば、例の島で何があったか草花から聞き出せる。時間はかかるが確実だ。島には海鳥を派遣した。こっそり様子を見てこい、ってな」  小さな包みに結んだ紐を、ロッテの脚に結んでやった。 『ご主人様にきちんとお仕事させるなんてやっぱりゴードンさんってすごい人よね。しっかり伝えるわ。まかせてちょうだい!』  ひらり、とロッテが舞い上がる。 「爪の垢はいらねえからな!」  微笑みながらロッテを見送り、エレーヌが振り返る。 「………周辺諸国に届けて欲しい手紙があります。内密で」  蜂蜜のように明るい瞳が、少しだけ険しいものに変わる。 「………帝国のことか」 「騎士団の1席から4席には私から今朝伝えます。3席は休養中ですが。……周りの国にも、こっそりと通達しておこうと。突然海を渡ってまで沢山の金銀財宝が必要になった、ということは何かが起きる可能性もある、ということです」     
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