第2話 針の騎士は花を描く

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 ミーンフィールド卿が微笑んだ。そして、 「着いてきなさい」  ぽろぽろと溢れる涙を服の袖で無理やり拭いて、ぎゅっと矜持を保つように背筋を伸ばし直した背の低い少年を、心配そうに自分を見やる小鳥を肩に乗せたまま、何も言わずに静かに館へと促した。  いつもの静かな2階の、いつもと何も変わらない私室の窓際の植木鉢に、ミーンフィールド卿はリボンを見せて問いかけた。 「君らは、どう思うかね?」  風もないのに、ほんの僅かに花が揺れるのを見て、テオドールがぎょっとして真っ赤になった目を丸くする。 「………『へえ、この坊やがねえ。うむ、悪くないぞ。この花びらの形!若くて初々しい俺好みのべっぴんさんだ。もっと明るい色だといいけど、こいつぁずいぶんと糸が古いな。おい親父、もっといいやつ買ってやれよ。お前のお弟子さんなんだろ?』だそうだ」  涙がひっこみそうな顔で、まじまじと目の前の騎士を凝視する。 「城ではあまり知られていないが、私は魔法使いでもある。こうして、木や花と語らう、それだけのささやかな力だが」  背の低い少年に合わせるように、少し身体を屈めて言った。     
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