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遥か東の異国の服を纏った、美しく輝く長く黒い髪の女と、これまた異国風の古めかしい竪琴を手にした、西の国生まれらしい明るい金色の髪の吟遊詩人。男の方は、地面に片膝を立てて座る独特のポーズがどことなく異国風であり、女の方は、ところどころ擦り切れてはいるが美しい衣服を身に纏っている。美しい文様の入り乱れた金の糸で織られた刺繍。金の糸は城でも珍重される希少なものだ。
そんな二人が身を寄せ合いながら、森の少し大きな木の根本で休息している。竪琴の音色で、女の心を安らげているのだろう。二人共少しやつれた顔をしている。
『………恋人同士かしら』
「………わけありらしいがな」
離れた場所から一人と一羽が小声で囁きあう。
『とても遠いところから来たみたいね。あんな服、見たことないわ』
「遍歴時代に一度だけ見たな。東の海の向こうの島のものだ。何故この森にいるのかはわからないが………」
数秒間考え込んだ後、ミーンフィールド卿は言う。
「ロッテ、これを持っていってやってくれ。私は館に戻って待つ」
籠の中から、葉のついた苺をふたつ選り分けた。
「あの二人には苺ではない食事がいるだろうが、この私がいきなり現れたら驚くだろう。無粋な真似は宜しくない」
『あなたのそういう配慮とても素敵よね。私これでも小鳥だしそういうのとても得意よ。館で待ってて!』
葉のついた苺を2粒くわえて飛び立っていった。
ひらり、と舞い降りてきた小鳥を見て、女が問うた。
「愛らしい鳥じゃな」
金髪の男が微笑む。
「苺をくわえているよ。この近くに生えているのかな。探してみよう」
白い小鳥が、女の足元に寄ってくる。
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