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「それでは雨が上がるまで、ゆっくり曲を披露させて頂くとするよ。僕の名前はベルモンテ・ド・フォンテーヌ。見ての通りの流浪の吟遊詩人。親切な森の騎士殿、名を尋ねても宜しいかな?」
「ゴードン・カントス・ミーンフィールド。カールベルク騎士団第五席。女王陛下の命によりこの小さな森の守人を勤めている者だ。異国のご婦人よ、名を問うても宜しいだろうか」
姫がミーンフィールド卿を見つめ、指先のロッテを見つめる。
「我が名は入江。ここより遥か遠き東の島より参った。そなたらの歓待に預かろう」
「……『五席』とは如何様なものなのか」
「島の言葉で言うところの『中将』くらいかな」
「この高杯のようなものは」
「ランプのことかな。『灯籠』に近いやつだよ」
東の島の姫君にとっては何もかもが珍しいらしく、ランプやカーテン、戸棚などの調度品に視線を投げては、あれやこれやを問うている。心にも、身体にも余裕のない旅を続けていたのだろう。
「後で湯を用意するか。従者がいればな」
『前々からご主人様も陛下も言ってたじゃないの。近習を入れろって』
「考えておくか。森が好きならばこちらも嬉しいがな……」
彼には2日分の食事を朝にまとめて準備する習慣があった。
「さしあたり、客人に提供するだけの量はあるな」
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