第一章 見えない瞳

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「テン!」 「………急に呼び捨てか?」 「ふふ、呼び捨てにしたらお友達なんだよ! これでテンと私はお友達!だからテンも私のこと下の名前で呼んで!」 彼女は俺の手をぎゅっと握って、幸せそうに微笑んだ。そんな彼女の笑みに俺はつられて小さく笑いを零した。 「っは、……ん、千花。」 「ふふ、初めてのお友達なんだ!テンがはじめて」 柔らかい頬に俺の手を持っていって、そんな言葉を言うから、俺は人間じゃないんだって、隠したつもりはないけど、言いづらくなった。 言おうとすると口が開かない。 「テン!私にこの世界を教えて!」 目の前で楽しそうにひと回転する彼女に、 俺は縦に首を振った。
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