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「あんな女に入れ込んで、まじめに栄養摂り始めたせいで、お前は爪はじき者だ。俺らとだりぃだりぃって言いながら、死なない程度にメシ食って生きてりゃよかったじゃねぇか。おまけに今度は〈神様の胃袋〉だ。俺らみたいに命にしがみつかないでいりゃあ、そうやって怯えずに済んだのによ」  何か言い返したかったけれど、何も出てこなかった。レノの見せた無表情を羨ましいと思ってしまったのは、紛れもない事実だから。 「さて、そろそろ行くわ。家も溶けちまって、別に行く当てもねぇけど」  黙ったままの僕を尻目に、レノは立ち上がる。こちらを振り返りもせず、軽く上げた右手をふらふらさせながら、公園の出口へ向かう。 「じゃあな。お気の毒さん。一応、お前が救われることを祈っとくよ」  公園を出るより前に、レノの身体は溶けてしまった。彼は悲鳴ひとつ上げず、荒れた地面に染み込んでいった。
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