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幸か不幸か、僕もマグもずいぶん遅くまで溶けずに残ってしまった。僕らのような異端者を相手に、さしもの〈神様の胃袋〉も消化不良を起こしたのだろうか。
いつ溶けてしまうか分からないまま過ごすのは苦痛で、いっそのことさっさと溶かしてほしいと、ここ数日何度も思った。けれど、こうして誰もいない荒野でマグと二人きりになってみると、溶けずにいたのは幸運だったような気もする。
「レストラン、行きたかったなぁ」
「もう溶けてしまってたんだから仕方ないさ。食器が残っていただけでも儲けものじゃないか。おまけに食べ物もあったし」
マグは納得しきらない様子で、膝の上の皿に目を落とす。それから観念したようにため息を漏らし、そこに乗せた果物をフォークで押さえつけ、ナイフを入れる。すべてレストランの残骸から拝借したものだ。
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