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「あーあ、またやってらぁ」  ニュースサイトの動画を再生したレノはへらへらと笑う。端末を覗き込むと、暴動を起こした遠い国の人々がWROの支部に群がっていた。 「まだ〈神様の胃袋〉を探しているんだね」 「形があるものだと思い込んでんだ。アホらしい。世界中を溶かしちまえる代物に、そんなもんあるわきゃあない。本部になかった時点で気づきそうなもんだけどな」  身体を溶かしながら健気に破壊活動を続けていた暴徒たちの目の前で、肝心の破壊対象であるビルが融解した。怒りの矛先を失って右往左往する人々の気まずさを映したところで、動画は終わった。 「〈胃液〉はとっくの昔にばら撒かれてたんだ。起動されたのがこの間ってだけでな。もう世界中神様の腹ん中、今さら逃れようなんざねぇよ」  レノが白けた様子で放り出した端末は、芝生が溶けてしまった公園に落下してガチンと嫌な音を立てた。もったいないという言葉が出かかったけれど、どうせ遠からず溶けてしまうのだからどう扱おうと構わないのだと気づいた。
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