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美香は黒い身体を波打たせ必死に泣き叫んだ。だがムカデ女の言葉を理解できない昭雄は足元のゴルフクラブを掴み直すと、その身体に憎悪を込めて、何度も何度もクラブを振り下ろした。
「この野郎、この野郎、この野郎、二度と家に入ってくるんじゃない!」
「やめて、やめてよ。私、死にたくない、死にたくないよぉ……」
美香は泣き崩れながら、頭から黄色い液体を流すと、ついには動かなくなった。
はっ……。
美香は自室のベッドのうえで目を覚ました。全身にびっしょりと嫌な汗をかいていた。美香は辺りを見渡した。ピンクのカーテンに勉強机、壁には留学祈願と書かれた紙が貼ってあった。
「私の部屋……」
ズキリと美香の足が痛んだ。美香が布団をめくると、血の滴る脛の傷口に無数のムカデ群らがっていた。
「きゃぁっ!」
美香はとっさに立ち上がるとパジャマのズボンを脱いでムカデを払い落とした。
「いったい何なのよ!」
美香は不意に顔が熱くなるのを感じた。恐怖に駆られながら部屋の隅にある姿見を見つめた。昭雄に熱湯をかけられたところと同じ場所がくただれていた。
「ひっ……!」
美香は夢と現実の区別がつかなくなってきた。美香はツーと流れる冷たい感触に頭をさわった。手のひらに血まみれのムカデが乗っていた。
「嫌っ!」
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