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美香は手を振るとムカデを床に叩き落とした。ベッドのうえの枕を掴み取りヒステリックになって血まみれのムカデを叩き続けた。
「何ななのよ、もう! 死ね、死ね、死んでよ!」
その攻撃があまりにも乱暴だったのだろう。枕がベッドの背もたれに引っかかり布が裂けてしまった。
枕のなかの綿が部屋を汚すと同時に、なかから小さな紙切れが落ちてきた。美香は紙を拾うとそこに書かれた百足の文字を見つけた。沸々と怒りがこみ上げてくる。美香は怒声をあげるとその紙を破り捨ててしまった。
「何よ! こんなもの!」
はっ……。
美香は何かの呪いが解けたのかまたベッドのうえで目を覚ました。美香は顔を触り、布団をめくった。
どこにも火傷や怪我のあとが無く、ムカデの姿も消えていた。
美香は自室のピンク色のカーテンをめくった。眩しい朝日が差し込んでくる。
「綺麗な朝……」
美香は呟くと、我に返り部屋を出た。
階段を降りながら、美香は百足と書かれた紙切れのことを考えてみた。
誰かが私のことを呪おうとしたのかしら? でもいったい誰が? 私がふった男の子? それとも男の子を好きだった同級生? でもどうやって私の部屋に入ったって言うの……?
美香は深く考えたが納得の行く答えを見つけ出すことは出来なかった。
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