満員電車にご用心!

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東京都の電車といえば、通勤時間帯の満員電車。 それと、女尊男卑の嫌いがあると言われる、女性専用車が有名でしょう。 しかし「山中さん」が居座ってからは、 ちゃんと男性専用車も運行されております! その根拠は、男女平等ではありません。 「指一本失ってでも痴漢がしたい!」という、 気の違ってしまった豪傑がいるからなんです! ほらほら、言っているそばからお出ましです。 駅のホームに立っているあの男、あの男は怪しいですよ。 なんたって、死も恐れない顔をしていますもの! セーラー服の女の子にピッタリとくっついて、満員電車にいざ乗車。 一般的に、痴漢はクセとか学習なんて話もありますけど、 この関東地方では、もはや自傷行為、及び自殺の名所なんです! 電車が発進してからしばらくして、指がヘシ折れ飛ぶ音がしました。 セーラー服の女の子が後ろを気にして、大きな声で叫びます。 「この人、痴漢です!」 偉い、よく頑張った! 恥ずかしいだろうによく言えた! 後は助けてくれる誰かに任せましょう! と、思いきや、その声に反応して、 車両内の指が数本、ヘシ折れ飛ぶ音がします。 そうなんです、これが問題なんですよ。 痴漢が起きる度に、 巻き添えを食らう人間が毎回数名いらっしゃるんです。 関東地方在住の男性は普段から訓練されているので、 意識さえしていれば、絶対にやましい想像なんてしやしません。 でも、疲れてボーッとしている時にいきなり事件が起きたとなると、 「助けなきゃ!」の前に「何があった?」と想像してみちゃうんですね。 決してよこしまな理由で想像をしたわけではないのに、 肝心の「山中さん」は許してくれません! 神様による冤罪を防止する為に、男性専用車は必要なのです。 言い忘れましたが、セクシャルマイノリティの為の、 個室付き車両ももちろんありますから、ご安心あれ! しかしね、あやしいものです。 巻き添えで指を失った人は、 電車の運行会社から「痴冤証明書(ちえんしょうめいしょ)」は貰えるものの、 その瞬間に、本当にただ想像してしまっただけなのか、 それともここぞとばかりに楽しんで想像したのか、 わかったものじゃありません。 真実は迷宮入りとなってしまうのです。 悪霊退散! 悪霊退散! 痴漢と聞いて股間が膨らむオッサンに、誰が助けを求められるかや! 南無阿弥陀仏! 南無阿弥陀仏!
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