2nd post : 制服は戦闘着

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「あなたとお友達になりたいの。それじゃ、だめ?」 「はあ」  明日葉も結城も悪くもない。ただもう関わりたくない。それが地曳の本音だった。これ以上関われば、これまで守ってきたモノが変わってしまいそうな感覚があった。 「……暗いから可能な限り送るけど、駅でいい?」  返答に困っている耳に、からからと、自転車のタイヤが回る音が入る。 「あら相変わらず女の子に優しい」 「姉に殺されたくないので。それに、一昨日の夜に交差点の方であったでしょう、事件」  自転車を持ってきた結城が苦い顔をし、方向は合っているのか、親指で背後を指している。  その言葉に地曳は瞬きをした。  一昨日の晩に起きたのは、会社員男性が若い男を殺したという悲惨な事件だ。  刺した会社員は、直前に信号を無視して車にはねられて右足を骨折。その後、会社員を助けようと駆けよった若い男を、持っていた包丁で刺殺した。2人に接点はなく、会社員男性が異常行動にでるような動機も見当たらなかったらしい。  見知らぬ親切な若者を、(かたき)のように首を狙って数10回に渡って刺し、居合わせた人々に止められてから警察が来るまで、電池が切れたかのように抵抗もせず横たわっていたという。その残虐性と異常性に、その手の話が好きな人々がSNSで盛り上がっていた。  世間、特に近隣に走った衝撃は強く、会社員男性は現行犯で逮捕されたものの、ホームルームでも注意喚起があった。     
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