3rd post : 床ではねる銀の水筒

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 実際に見ていたという人間がそうSNSに呟いたり、動画を拡散している。だが、映像が映像なだけに投稿者が規制をかけたりしているので、信憑性は低いとも地曳は聞いていた。 「魔法使い、か」地曳の頭に、1週間前の出来事が蘇る。  目の前に広がった碧は、その碧が起こした柔らかな波は、その後見せつけられた別世界が起こした波は、彼女の記憶から一片たりとも離れようとしていない。 「ねー。宗教でも信じるかなあ普通」 「もしそうだったとしても、そんなので子ども殺されたら親もやるせないよ」  マスコミの取材にコメントする親族や、残された子どもを思い浮かべながら、地曳は昼に買ったスポーツドリンクに口をつけた。  魔法使いといえばさ。真希が地曳の持つペットボトルを突く。 「矢恵。水筒、浮かしたことなかったっけ?」 「んっ。……え?」  しばらく聞いていなかった問い、と真希のイタズラに噴きそうになるのをなんとか堪える。全く心臓に悪い。  聞いてきた割に興味なさげに、スマートフォンを弄りながら真希は続けた。 「小学生の頃、噂になってたじゃん」 「マキ知ってたの? 全然聞いてこないから知らないかと」     
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