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「仲良くなったの中学だったでしょ? 私もしばらく経ってから『そういえば噂の子か』ってなったからさあ。でも有名だったよね、タネ教えてくれないって。……そういえば、『どうやったらああなるか』ってその時男子たちが私のクラスきて練習してたんだよ。ギャフンと言わせたいって」
「そんなことしてたんだ」
「『魔法使い』で思い出したんだー」話半分にSNSチェックをしていた真希の手が止まる。
「実際どうなの、矢恵」
「どうって、転ばせただけ」
「どうやって?」
地曳は口角を上げ、小学生の頃からさんざんしてきたタネ明かしをする。
「あの机、元からガタガタだったから脚を踏んだの」
「それだけ?」
「うん。それだけ」
「へーえ。マジックだ」
それだけでひとりになっちゃったかあ。真希は軽く笑って、またスマートフォンを弄りはじめた。
「なっちゃったんだよねえ」地曳はため息をひとつこぼし、外を見た。
窓から見える裸の木に、1羽のカラスがとまった。
「でも、『魔法使いは1人でいい』って、殺された人たちは使えたのかな……魔法」
いつも目にしているカラスとは大きさが違うことに、種類が違うのだろうかと考えていた地曳を見上げ、スマートフォンを弄る手を止めた真希がぼそりと呟いた。
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