4th post : 1口も飲まれていないミントティー

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「どうもー」蔵田は運ばれてきたエメラルドグリーンに、僅かばかり目を輝かせていた。スプーンでアイスを掬い、スプーンにのるアイスを凝視する。 「……チョコミントアイスはじめて食べた時、歯磨き粉かと思いませんでした?」 「えっ、あ、……そうかも?」  突然の問いに疑問系で返すと、蔵田は口角を上げる。 「僕、この食うもんじゃ無い感じにハマってるんです」 「そうなんだ……」  それはまた妙なハマりかただ。チョコミント好きに怒られそうな。そう思いながら、蔵田の口の中に消えるエメラルドグリーンを、自らの記憶にあるその味を思い出そうとした。が、それどころではないと先程の寒気を思い出す。  店の出入り口を見るが、真希が帰ってくる気配はない。  氷もほぼ溶け、大粒の汗をかいたグラスを手に取り、赤いストローの先を唇で挟んだ。  地曳は、はやる気持ちを押さえるよう努める。  蔵田は“食うもんじゃ無い感じ”を堪能中で、それ以外のために口を開く気配もない。夢中になるその様子はやはり年相応な少年で、真希の不可解な行動も寒気も気のせいかもしれない、と。  そう、蔵田の方向から寒気が通っただけで、蔵田が発信源とは限らないのだ。  地曳は、ブラッドオレンジティーを喉に流し込む。     
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