4th post : 1口も飲まれていないミントティー

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「同じようなもんじゃないの? ちやほやされる環境を作るために僕は友達を利用するし、友達もなんでもできる僕と、仲が良いって立場つくるために僕を利用する。目的地が変わったのに乗り換えないのはただの馬鹿だよ。……で、 地曳さんはなんで同じ電車に乗り続けようとしてるの?」 「それは――」  真っ直ぐなのか捻くれているのか、本当にそう思っているのかむきになっているのか、ああ言えばこう言う蔵田の言い分は滅茶苦茶で、なんでも言い返せるものだった。  「それは友達なの?」とか、「君はそうでも、友達はステータスのために一緒に居るわけじゃないでしょ」とか、「いや、この場合、目的地は変わっていないんだよ」とか、「それって、馬鹿って言いたいの?」とか。  しかし、地曳は返答に詰まった。  色々と理由はあるが、なによりこの中学生が、良くも悪くも羨ましく思えてしまったのだ。「これだけ自信があって、関係を割り切ることができたなら、どれだけ楽だろう」と。  同時に苛立った。「だから、みんなが君のように上手くやれるわけないんだって。現に君に私の抱えるものが分かる?」と。  が、「相手は初対面の中学1年生だ」「それでは八つ当たりだ」「同じ土俵に立つな」と、理性がおさえる。 「それ(・・)、口に出してもいいのに」 「え……?」  言葉を失った地曳の顔みて、蔵田は吹き出した。そのまま、あはははっと声をあげて笑う。 「本当、地曳さんって、警戒心は強いのに感情はよく見えるよね」     
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