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「いたずらして告白されるって初めてなんだけど!」
「こくは……!」
絶句。そんな、見てるだけでいっぱいいっぱいだった人間が告白だなんてありえないでしょ……! いや、言葉だけ取ったら確かに告白なんだけど私の中じゃ告白じゃなくて!
「あーめっちゃ変顔! やっぱ面白いね、最高!」
そう言って航生くんはにこにこ笑った。変顔……ただ焦っただけなのにそう言われるのは地味に痛い。
「違います! そういうのじゃなくって……」
「じゃあ何?」
「えーっと……」
じゃあ何なんだろう、改めて冷静に考えようとする。ただの憧れ? 確かにそうだったはず。でもはっきりそうと、今は言い切れない。だって航生くんはこんなに近くにいる。
これって……考えようとする私を急くように航生くんは手を取った。驚きに顔が熱くなって身を竦める。と、ドアが開いて人が一斉に扉に向かう。そうか、もう終点に到着なんだ。あっという間で驚く。
「ほら、とりあえず行こ!」
立ち上がり引く手はとても強引で、私は慌ててついていくので精一杯。でも、全然嫌な気はしない。むしろわくわくしている自分が入る。この扉を一緒に抜けた先に待っているのはどんな関係なんだろう? 夢見るような恋愛など無いかもしれない、それでもきっと今まで想像できなかった「何か」があるはず。私は期待で胸がいっぱいになる。そうして、心の中で宣言をした。
畑中笑里、このチャンス全力で頑張ります!
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