第五章 涙のわけ

21/33
前へ
/141ページ
次へ
 落ち着けおれ、うじうじするな。こうやって自分に言い聞かせないとネガティブな沼にハマる。おれはこうして生きているし、さっきのは模擬戦だ。  セラを守れなかった原因は彼女に無理をさせてフォローに入るタイミングが遅かったからだ。接近するリーゼに気づけなかったのは、おれの索敵が甘かったからだ。結果的に全ておれの甘さが招いた失敗……そうだ、これでいい。  「よし」  失敗は次の成功への糧だ。リーゼには悪い事をしてしまったな……イラついた感情をぶつけてしまった。今度会ったら謝ろう。  とりあえず学院の外に出て、街の外れのある場所へ向かう。目的は情報の収集と、久しぶりの顔出しといったところだ。夕刻までにはまだだいぶ時間がある。もしかしたら、誰も相手にしてくれないかもしれないけど、あいつならきっと話を聞ける。夜の準備をしているところの邪魔をするかもしれないが、情報の質としてはここより他にいい場所は思いつかない。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加