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昼を過ぎた王都のお膝元であるこの町カイスは、行商人の往来が盛んで大通りは常に露店でひしめいている。値段交渉の言い合いや変わった品物の宣伝で大声を張り上げる若い店主。学院帰りの生徒が何度も視界に入るが、おれが目指す先は路地を抜けた町の隅っこだ。
ぼろ切れを身に纏う貧民街の住民に目をやりながらたどり着いたこの場所は、女性しかいない。
「アンタ、最近肌荒れひどいんじゃない?」
「そう? 効果のある魔法薬、ないかしら」
石造りの住居の前で井戸端会議をする女性たちの前を通り過ぎたとき、そんな話声が聞こえてしまった。視線を感じる……が、おれの目当てはただ一人。この娼婦街を仕切る女性だ。この区域の大きな建物の扉を、押開く。
「あら……坊や。こんな所に一人で来るなんてどうしたの」
「人を探しているんです」
「とか言っちゃって、本当は気持ちよくなりにきたんじゃないかしら」
「ルゼッタさんは、もう起きていますか?」
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