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甘いお香が充満するこの建物の室内は薄暗い。いまいちよくわからないが、これが大人の雰囲気というものなのだろうか。声をかけてきた女性は二十台後半といったところか……豊満な胸の肌色面積が広いし、必要最低限の着衣しかしていない、正直に言えば目のやり場に困ってしまう。
「どうして、ルゼッタ様に会いたいのかしら」
「情報が欲しい。人の命がかかっている」
「大げさなんだから。あたしも、明日の生活がかかってるって言えば、坊やは助けてくれるの?」
「それはどうかな」
「あら、助ける人を選ぶなんて……それでも英雄なの? レイジくん」
「英雄とは、過去の功績を称え人々が贈る称号。おれはそんなものに興味はないし、静かに誰の干渉も受けず……暮らしたいだけだ」
「そうね。その暮らしの中に、あなたの欲望のはけ口にしてもいい女が居たらどう?」
豊満な胸を揺らしキセルを咥えたピンク髪の彼女がおれの肩に手を回した時、店内に声が響いた。
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