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「こんな時間にどうしたんだいレイジ」
店の奥に掛けられた天幕の方より甲高い声が聞こえる。この娼婦街の女性たちを守り、平等に仕事を分け与えるやり手の主……ルゼッタの声に間違いなかった。肩に手を回したピンク髪の女性はルゼッタの声を聴いた途端におれから距離をとり、上品に一礼するとルゼッタの方へと道を開けた。
「こんな時間にごめんよルゼッタさん」
「まったく、やっとアンタの初めてをわらわに捧げる日が来たのかい」
「それはきっと永遠に来ないかな」
「純粋な小僧め」
天幕を引き声のする方へ歩み寄る。とても甘いベリーのような香りが鼻孔を膨らませたとき、小柄で細身な白髪の女性がその長い髪を丁寧に櫛で梳かす姿が目に入った。
「して、何が聞きたい」
「坑道の魔物が活発化した原因が知りたい」
「それならば、既に気づいているだろうに」
「確証がない。だから知りたいんだ」
「人間が関与しておる」
彼女の一言が、確証に変わった。
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