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魔法を使えて実力が認められたおれが、魔法を習得する学院に通う必要性はない。羊皮紙に記された、王立ヴァルセイド魔法学院の編入届の書類を、蝋燭の灯りで照らしながら眺めた。
明日の朝、この書類を学院受付に提出すれば編入手続きは完了。割り振られたクラスで講義を受け学院生活のスタートというのが、明日の流れになるだろうが――どうにも気が進まない。というより行きたくない。
「今になって編入とか。意味が分からない」
そもそもこの学院編入はおれが決めたわけでもないし、しばらく学院に通っていなかったからまた通い始めたいなんて自分勝手な理由で編入が決まったわけではない。おれの知らないところで編入の話が進んでいて、何も知らされず言われるままにサインをした書類が、編入手続きの書類だった――ということだ。いや、ちゃんとしっかり内容を読まなかったのがそもそも悪いのだが。それを言っても始まらない。もう遅すぎた。
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