#4

8/39
231人が本棚に入れています
本棚に追加
/267ページ
夜中の二時過ぎにいきなり電話してこれですか? こっちは心の準備ってものが必要なのに。 相変わらず、人の都合など気にせず自分勝手で横柄だった。 「……こ、こんな時間に急にメッセージもらっても返事なんかできませんよーー」 「なんで?」 ーーお願いだから。   これ以上は突っ込まないで。   いっぱいいっぱいで対応なんかできない。 麗奈は泣きそうだった。 「ごめん、電話切ってもいい?」 「はぁ!?」 電話の向こうで、七キューがムッとしているのが麗奈にもわかった。 だけど、麗奈はもうどうしていいかわからない。 一方的に電話を切った。 ……が、すぐに折り返し電話がかかってくる。 七キューも結構しつこい。 無視することもできずに恐る恐る電話を取った。 「何で、電話切ったんだよ!?」 「いや、だって、その……」 麗奈の頭は真っ白で、一文字も言葉が出てこない。 しどろもどろでわけのわからないことを呟くばかりだ。 七きゅーがむぅっとしながら麗奈に言った。 「せっかくウィンクまでしてやったのに」 「え? あれ、私に?」 「アンタ以外に誰がいるっつーの?」 怒ったような声。 「……私に気づいてないかと思った」 「気づくよ。  ステージから客席って結構よく見えるから」
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!