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麗奈が報道特集の制作からドラマ制作の現場に入るように、と聞かされたのはつい昨日のこと。
寝耳に水だった。
社会で虐げられ、立ち上がることの出来ない人達にスポットを当てたい。
そうすることで、少しでも世の中が良くなるならーー
そんな思いで、テレビ制作会社に入り、いつか自分の企画でドキュメンタリー番組を制作することが麗奈の夢だった。
それが、いきなりのドラマ制作への異動。
しかも、今抱えている案件を全て引き継いですぐに現場に入れ、と何の前触れもなく突然言われた。
途中、体を壊して一年ほど休まなくてはならなかったものの、それなりにキャリアを積んで、夢が少しずつ近づいて来ている、と実感するようになっていた矢先の出来事。
ドラマなんて冗談じゃない。
そんな辞令に納得できるはずもなく、この際、辞表を叩きつけて結婚してしまえ、と思っていたら、朋之から「会いたい」と連絡が来た。
こうなりゃ渡りに船だ。
朋之に逆プロポーズするしかない!と気合いを入れてきたのに、突然、別れを切り出されるなんて。
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