隣席の君

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 その日の夜、僕はまた悪夢に(うな)されていた。 う……ん…… う……うーん……  その世界はなんだか全体的に赤黒い空間で、全体に淀んだ空気が流れている。早い話がおどろおどろしい空間だという事だ。  夢の中の僕が居心地の悪さを感じて両腕を抱えていると、空間全体のいたるところから、赤黒い血が透けているかような、どす黒い皮膚をした腕が無数に伸びてきて、僕を連れ去ろうとする。すると足元を始めとする空間全体が肉の壁に変わり、僕は取り込まれそうになって必死に抵抗をした。 ぎゅっ。ぎゅっ。  僕が腕を拒む度、肉壁が嫌な音を立てて沈み込む。もうだめかと思い目を瞑ったその時、そこで朝になり目が覚めた。    僕は起き上がるなりパジャマのポケットに手を突っ込んで、取り出したキラキラと上品な虹色に光るお守りを目の高さで握り締めて坂上さんに感謝した。
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