隣席の君

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その日の夜、僕はまた悪夢に魘されはじめた。 う……ん…… う……うーん……  その世界は昨日と同じくなんだか全体的に赤黒い空間で、全体に淀んだ空気が流れている。昨日よりも禍々しさは格段に増して、この世のものとは思えない空間に背筋の震えが止まらない。  夢の中だと言うのに妙にリアルな寒気を感じて僕が立ち尽くしていると、やはり昨日と同じく空間全体のいたるところから、赤黒い血が透けているかような、どす黒い皮膚をした腕が僕を取り込もうと無数に伸びてきた。それと同時に、空間がぬらぬらと気持ち悪く動きだす。全体がまるで呼吸をしているかの様だ。一気に湿度と温度が上がる。呼吸が浅くなるのを感じる。壁から伸びる手に右手首を掴まれた僕は必死に抵抗をした。 にちゅっ。にちゅっ。  僕が腕を拒み足を踏ん張る度、肉壁の様な床が昨日よりも更に嫌な音を立てて沈み込んで僕を取り込もうとした。
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