隣席の君

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 出された例は、いわれてみれば確かにと思わないこともなかったけれど、今となっては終わった話なので、それは坂上さんの特殊能力に寄る物なのか、単に身体能力が優れていたのか、ただの偶然なのか、すぐに判断する事は出来ないと僕は思った。  それにしてもこんなへヴィーな話、初対面ではないにしても、初めて会話を交わす隣の席の人間対して振る話題なのだろうか。いいや、相応しくないことだけは確かだ。  だけど、僕の脳は気づけば彼女を否定するよりもその続きをききたい欲求に忠実な答えを下していた。 「まじで?」 「ええ。今からあなたは72時間以内に死にます。何もしなければ」  漏れ出た言葉に、彼女はニコリとも笑わずに答えた。 「えっ? 何言ってるの?」 僕はとっさにトボけた。 「自分でも、分かっている筈よ」 僕の淡い期待も空しく、坂上さんはピシャリと言った。 坂上さん……なんで俺が呪いから逃げなくちゃいけない事知ってるんだ。本物かよ。 気がつけば心の中で一人呟いてしまっていた。
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