隣席の君

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 実は僕は11日前に、俗に言う”不幸の手紙”ならぬ”不幸のメッセージ”なるものをスマホに受信していた。  差出人の名前は登録した覚えのない見知らぬ男子で、何かのきっかけでたまたま入ってきた僕のアドレスを見つけて送ってきたのだろうとたかを括って、読んで直ぐベッドの上に放り投げたままにしたのだけれど、その本文には 『このメッセージを受け取った人間は受信した本文の最後に、更にもう一文不幸の内容を自分で考えて足した後、二週間以内に五人の人間に送らなければこれまで書き積み上げられた不幸の内容が全て現実のものとなりその身に降りかかります。もしこの文章の通りに送る事が出来れば、貴方の人生と未来は輝きに満ち溢れ幸せなものとなるでしょう』  と、こう書かれていた。  その下に書かれてあったのは、はじめは 『道端の石に躓く』  と言った学生らしく瑣末(さまつ)で可愛らしいともとれるものから、 『不審者に狙われる』  徐々にエスカレートして最後は 『夢の世界につれて行かれ、二度と戻れない。夢に食い殺される』  で中途半端に書き終えられている。  だからもしその呪いのチェーンメールが本物なのだとしたら、そのメールの拡散期日まではあと三日と言うことになるから坂上さんの言うことには物凄く心当たりがあった。  だけど、今時こんな子供じみたいたずらをわざわざ拡散する手助けしてやる必要もないだろう。
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