第1章

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 彼女は、自分のお腹を擦りながら、そう答えた。 「一ヶ月!?そんなに!?病院には、行ったの?」 「恥ずかしくて行ってない……ピンクの錠剤も沢山飲んだけど、お腹がキリキリ痛むだけで、全然出ないの……」  かつての少年は、少しだけ考えた後、 「大丈夫!俺に任せとけっ!!」 「おじさん、センナ買いに来たよ!」  薬局にやって来た二人は、だいぶ歳をとって老眼鏡が手放せなくなっていたオッサンに事情を説明した。 「お代は、後払いで結構ですので……お辛いですよね、上手く行く事を祈っています」  オッサンは、いつでも優しかった。  翌日の朝、彼女から携帯にメールが届いた。 「やった!!凄い出たよ!!ありがとう!」  メールには、彼女の笑顔の写真が添付されていた。  数年後、二人は、結婚した。  その一年後には、二人の愛の結晶が、彼女のお腹の中に宿った。  そして、出産。  二人に、新しい家族が加わった。  今でも、この二人は、何か具合が悪いと、あの薬局で、漢方薬のみを選んで、買っている。  薬局のオッサンは、もう還暦を迎えていた。  薬を始めとした、自らの体内に入るものは、自らの体質や、具合を考えてチョイスすべきなのだろう。たまたま、彼らには、センナを始めとした漢方薬が、フィットしたに過ぎない。   このお話は、決して西洋薬を、批判するものでは、ありません。  皆様、お身体をお大事に……
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!