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高校生。
周りは浮かれていた。俺だってそうだった。
もう中学生じゃない。
確実に大人への階段は登っていたのだ。
同じクラスになった女子とその春付き合った。
人生初の彼女。
「結城くん?聞いてる?」
「あー、ごめん。何だっけ」
「もう。だから、土曜日は10時に待ち合わせでいいよね?」
「うん」
彼女の名前は白木麻未。
そして俺は結城優(すぐる)。
もうデートは何回もした。初めて同士で最初は緊張したりしていたけど、今はもうなんだろう?
一緒にいることは当たり前で、初々しさなんてどこにもない。
みんなこうなんだろうか?
俺の机に頬杖をついて麻未は持ってきていた雑誌をペラペラとめくる。俺はそれを眺めるだけ。
「結城くん行きたいとこある?」
「えー」
別に今更。
「たまには決めてよ」
面倒くさい。
そう思う俺は酷い奴なんだろうと思う。
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