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私は結局、高校卒業まで二人を避け続け、そのまま県外の大学に進んだ。
二人とは、それきり。
もう会う事もないーー。
はず、だったのだが。
「同窓会、か」
ついこの間届いた葉書に書かれていた、同窓会の文字。
ふと桜の木の下に埋めた私の残骸を拾いにくる気になったのは、私が大人になったからか、それともーー。
「前田くん」
ぼんやり歩いていると、恩師に呼び止められた。
「探し物は、見つかったかね」
「はい、おかげさまで。あの、先生。私は今はーー」
「ああ、伊沢だったか。すまないな」
「いえ」
しばらく話をして、頭を下げて恩師と別れる。
「じゃあ、また同窓会の時に」
「ああ、またな」
十年分年を重ねていても先生の笑顔は変わらない。
それに笑みを返して、私は踵を返した。
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