桜の木の下に

6/12

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 桜が散り始める季節だった。  私は緊張で吐きそうになりながら、先輩を探していた。  手には、先輩への誕生日プレゼント。  三年に上がり、部活を引退した先輩に会うことはめっきり減っていた。  そんな中訪れた先輩の誕生日。  私は、この機会に一大決心をしていた。 「ど、どう言えばいいかな・・・・・・」  この想いを伝えたい。  その気持ちに押されて、私は先輩を探して歩き回っていた。 「浩介なら、屋上じゃないかな」 「あ、ありがとうございます」  先輩の友人に居場所を聞き、さっそく屋上へと向かう足取りは、何時もとは違っておぼつかない。  緊張と不安で揺れる心をプレゼントごと抱き締めて、私は屋上のドアを開いた。  そして、見たのだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加