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太郎はしばらくドアの前で、ドアノブを無意味にまわしてみたり、激しくドアを叩いてみたり、ドアの蝶番が錆びていないか確かめてみたり、挙句の果てには全力で体当たりをしてみたりもしたが、やはりドアは全く動かなかった。
閉じ込められている?
自分が?
誰に?
何のために?
半狂乱寸前で、ふと太郎は窓の事を思い出し、窓を開けてみた。窓は全くいつもどおりに、横にスムーズに開いた。
しかし窓の外に手を伸ばそうとしたところ、まるで見えない壁でもあるかのように、手は寝室と外とのちょうど境目のところで押し留められた。
太郎はまじまじと開いた窓の向こうを見つめたが、見た目に何もおかしいところはなかった。しかし窓の向こうには、自分も、ためしに投げてみた紙くずも、他のあらゆるものも、窓の外に到達する事ができなかった。
その後、太郎は疲労困憊の局地に達するまで、寝室であらゆることを試したが、結果として、全ては徒労に終わり、太郎は寝室から出る事ができなかった。
疲れ果てた太郎の目に、3:33を示し続ける時計が目に入った後、太郎は最初に捨てた解釈にもう一度縋ることにした。
これは、悪い夢に違いない・・・・・・
この後、太郎は起きている間は寝室から出る方法を模索したり、外部との連絡を取ろうとしたりを試み、その全てが無駄に終わり、疲れ果てて寝て、起きると時刻が3:33のままであることを確認する、という繰り返しを幾度となく繰り返し続けるのだった。
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