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やがて。 太郎の体感時間で、3年ほど、脱出不可能な3:33のままの寝室で寝続けたある日。 ほぼ無感動に開けられた太郎の瞳に映った時計は、2:22を示していた。 しばらく太郎はその時計を見つめ、一度目を閉じ、それから目に力を込めて再度その時計を見つめた。 やはり時計の表示は2:22であった。 3:33じゃない。見間違いではない。時計を手にとって近い距離で凝視しても3:33ではない。 太郎の、ほぼ死んでいたといっても良い心に、確かに希望の灯がともった。ただ、その灯はすぐに強風にさらされ、消えることはなかったが激しく揺らいだ。 手に取った時計は、2:21に表示が変わっていた。もうしばらく時計を凝視していると、2:20になった。 時間停止が終わったと思ったら、今度は、時間を逆行している・・・・・・? その後、太郎はずいぶんと久しぶりに、寝室から出られるかを試してみたが、出られないままなのは変わっていなかった。ひどく太郎は失望したが、それでも今までと異なる状況となったことで、太郎に確かめたい事が一つ出来た。     
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