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再度の説明となるが、虚数というのは、二乗すると’マイナス1’になる性質の数である。「虚数時間」の時間軸にもう一度、太郎の寝相の力が作用した結果、太郎の時間は「マイナス時間」となった。時間軸としては通常の時間軸と同じであるが、太郎はその時間軸上を通常とは逆の、マイナス方向に進んでいく。
時間軸が同じでも、進む方向が違うために、太郎はいまだ寝室から出ることはできないが、太郎自身も、何が自分にとって必要なことか、理解しつつあった。
理屈はわからないが、自分が起きているときに何をしても無駄だけれども、自分が眠っている時に、稀に何か変化が起こる。
眠り続けること。起きていても仕方がないのだから、とにかく眠り続けること。
太郎は目が覚めたときに、時計を確認し、ドアから外に出られるかを試し、ダメだった場合はまたすぐに眠りにつく、ということを数限りなく繰り返した。
そして、太郎の体感時間で、また3年ほど経過した頃、三度目の変化が起こった。
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