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周助がしばらく素振りをしていると、バタバタと足音がした。
「お初。どうしたんだ、そんなに慌てて」
道場の戸口に現れた初は不安げな表情で周助を見た。
「さくらを、見ませんでしたか?どこにも見当たらないのです」
「いや、見てねえが…」
「どうしましょう…もう夕方になるし、外に出歩いて行ったとしたら、危ないですよ。やっぱり、私が悪かったのね…」
初は先ほどのことを周助に説明した。
「家出、したかもしれねぇな…」
「やはりそうなのでしょうか!?あの子ったら、一体どこへ…」
周助には何かひっかかるものがあった。しばらく考えて、それが何なのか思い立った。
「源三郎のやつ、やりやがったな」
「源三郎さんがどうかしたのですか?」
「なあに、心配いらねえよ」
わけがわからない、といった顔の初に、周助は自分の予測を話して聞かせた。
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