2.家出

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 源三郎はふう、と溜め息をついて、これから練習で使おうとしていた竹刀をさくらに手渡した。 「敵は自分で取れ。俺が取ったって、お前はすっきりしないぞ。試衛館に帰って、近藤先生にちゃんと剣を習うんだ」 「やだよ。さくらは女子だもん」 「女子が剣術をやっちゃいけないなんて決まりがどこにあるんだよ。お前、女だからって馬鹿にされて悔しいなら、男よりも強い女になってみろよ」  さくらはハッとして源三郎を見た。 「そんなことできるの?」 「できるさ。なんたってお前は近藤先生の娘なんだから」  さくらは手渡された竹刀をじっと見つめた。  剣を習って、信吉に勝つ。  そんな自分を想像すると、なんだか信じられなかった。  いつの間にか、竹刀を握るさくらの手には、ぎゅっと力が入っていた。  
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