3.剣術少女・さくら(前編)

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 次の日の朝、試衛館の道場に、周助とさくらは立っていた。  周助は真剣な面持ちでさくらに竹刀を手渡すと、自分はその倍ほどの太さの木刀を手にした。 「いいか?構え方はこうだ」  周助は自分の木刀を構えてみせた。さくらも真似した。 「違う、もっと柄を強く握るんだ。で、もっと真っ直ぐ。昨日は源三郎に習ったのか?」 「はい」 「あいつはちょっと傾くクセがあるからな…」  周助はさくらの竹刀の剣先を持ってぐっと真っ直ぐに直した。 「父上、そっちはどうして違うんですか?」さくらは周助が手にしている木刀を指差した。 「ああ、これか?こっちが本物の天然理心流の木刀だ。実戦をにらんで、真剣みたいに重く作ってある。そんじょそこらの木刀とは違うんだ」周助は誇らしげに木刀を見つめた。 「さくらもそれがいい」 「バカ言え。今日始めたばかりの七歳のチビに持てるわけねえだろう」 「さくらはチビじゃありません!」 「じゃあ、ほれ」  周助は木刀を手渡した。  さくらはそれを両手で受け止め、周助が手を離した瞬間、あまりの重さに取り落としてしまった。閑散とした道場に、鈍い音が響きわたった。 「わかったか?それを持つのは十年早い」 「十年も!?」 「もっと鍛えてからってことだ。まずはほら、そいつでやるんだ」     
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