3.剣術少女・さくら(前編)

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 さくらは竹刀を手に取り、スッと構えた。 「そうだ。そんで、真っ直ぐ振りかぶって…」  稽古は小一時間ほど続いた。試衛館には、もちろん他の門人も毎日やってくるので、周助はさ くらの稽古ばかりしているわけにもいかなかった。 「じゃ今日はここまで。今やったことをしっかり練習するんだぞ」 「はい。ありがとうございました」  さくらはぺこりとお辞儀をすると、竹刀を持ったまま道場を出た。  その後ろ姿を周助は目を細めて見送った。  午前中素振りを続けたさくらは昼食の握り飯を食べると縁側で眠りこんでしまった。 「まあ、さくらったら」  初はさくらの隣に腰を下ろすと、その髪を優しく撫でた。 「ん……母上?」さくらはぼんやりと目をあけた。 「あら、ごめんね。起こしてしまいましたね」 「いいの。まだまだ練習しなくちゃいけないんです」 「えらいわ、さくら。がんばったらすぐに強くなれますよ」 「はいっ」  さくらは竹刀を拾い上げると、中庭に走っていった。    ――がんばれば、信吉に勝てるんだ!明日はどんな稽古かな。胴打ち…ってやつとかかな。かっこよくバシッとやれる技、父上早く教えてくれないかな。  次の日、さくらは自分の考えの甘さを思い知った。     
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