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夢を見ていた。 胸焼けがするほど甘い記憶。 欲しくても欲しくてももう手に入らない風景。 夢だと気づくのに数秒。 彼は笑う。 昔の見慣れた部屋。 2人が過ごす特別な場所。 もう何を言っているかもわからないのに 幸せな時間が流れていることだけは確実で。 いつからすれ違っていったんだろう。 いつから手を解いていたんだろう。 いつから背中も預けられなくなったんだろう。 いつの間に君との距離はこんなに離れてしまったんだろう。 あんなに傍にいたのに。 心も身体も、誰よりも1番近かったのに。 君は笑う。 そこでは私も笑っていたはずなんだ。
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