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「蒲田先輩と別れたことって、みんなに言ってます?」
「んー、碧斗くんだけには言ったかな。碧斗くん、みんなには言わないでって言ったら、本当に言わないでいてくれて。そーゆとこ、好きなんだよねー」
「二人が別れた事が知れ渡ったら、大騒ぎになりそうですよね。ってゆーか、なんで碧斗なんですか?蒲田先輩の方がイケメンだし、大人だし。どう考えても蒲田先輩の方が上っていうか・・・」
「それが疲れるんだよね。確かに彼は大人だし、何でもできるし、かっこいい。自慢の彼氏だったけど・・・完璧すぎて息が詰まるの。私には甘えて欲しいのに甘えてこないし。そんな完璧な彼に合わせて、いつの間にか完璧な彼女演じてる自分がいて。本当の私は、もっとダメな子なのにね」
そう言った美里は、少し苦しそうだった。そんな美里を見て、夏鈴も胸が苦しくなる。
「碧斗くんはさ、私が無理してるの、所々で気付いてて。先輩大丈夫ですか?無理してませんか?って声かけてくれたの。私、今までそんなこと言われたことなかったから、嬉しくて」
「それで好きになったんですね」
「うん。碧斗くんなら、無理しないで、本当の自分で付き合っていける気がするの」
「碧斗は小さい頃に両親が離婚してて。お母さんと二人で育ってきて、お母さんが無理してるの見てきてるから。無理してる人見ると、放っておけないんだと思います」
「そうなんだ。いつも明るいけど、本当は苦労してるんだね。そんな碧斗くんを、これから私が支えていければいいな・・・」
美里は真っ直ぐな瞳で、決意するように言った。そんな美里の真剣な想いを目の前にして、夏鈴は思わず、
「先輩頑張って下さい!あたし、二人が上手くいくように応援してます!」
と、言ってしまった。
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