第3章 語られる「真相」

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第3章 語られる「真相」

 冒頭のシーンに戻る。お姉さんは少しずつ話し始めた。 「もしかしたらね、あの人浮気してるかもって思って後をつけてたの。休日出勤だって言ってたのに、違う駅で降りて、そしたら、別の女がいて……」  少し悲しそうな顔を見せるお姉さんを見て、青年は、 「そうだったんですね……。幸せ祈ってたのに、残念です」 「ありがとう。でもごめんね。あなたの願いを叶えられなくて」  しばしの沈黙の後、青年が仕掛けた。 「あの、今でもあなたが好きなんです」  二度目の告白に、お姉さんは現実的な答えを求めた。 「もう私、アラサーになるおばさんだよ」 「年の差はあるけど、それは受け入れられます。今でもあなたしか見えないんです」 「ありがとう。でも、私を幸せに出来るの? まだ大学生でしょ?」 「大学生が嫌なら中退して就職します。もちろん浮気なんてしませんよ」    その言葉にお姉さんの心が動いた。 「中退するなんて言葉が、簡単に出ちゃうのね。そんなに、私が好きなんだ」 「もちろんです」  ややあって、 「……、お試し期間は無しよ。大学は卒業しなきゃいけないと思うから、就職は待つけど、真剣にお付き合いして。私は旦那と整理つけるから」 「それって、受けてくれるってことですか?」  お姉さんは黙ってうなづいた。 「ありがとうございます。必ず幸せにしてみせます!」  その声はウェイターにも聞こえたのか、軽く失笑がもれた。 「キミ、声が大きすぎ」 「す、すみません……」  お姉さんも顔を赤らめてしまった。二人は連絡先を交換し、そして喫茶店を後にする。お金はお姉さんが払った。 「ありがとうございました」  青年はその声に聞き覚えがあった、気がしたが、これからはじまるお姉さんとのお付き合いのことで頭がいっぱいで、さほど気には止めなかった。
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