第2話 阿吽の正体見たり小夜時雨

19/19
150人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
「いやさ、逢沢さんが持つ霊感は、あやかしとの対決にきっと役に立つと思ったんだ。それに、消怪団には女性がいないから、男の僕たちとは違った視点も必要かなと」 「……いいですよ」 「えっ、本当に!?」 「その代わり、報酬としてカメラのこともっと教えてください。私、写真が上手くなりたいんです」 「もちろんだよ。じっくりレクチャーしてあげる。じゃあ、取引成立だね」 そう言うと、にこやかな顔で私に向かって右手を差し出した。 私はその手を握り、固く握手をする。 本音を言えば、私も消怪団に入りたかったのだ。そうすれば、倉橋さんのことをもっとよく知ることができる。 握手をしたまま、なぜかそのままお互いに見つめ合ってしまった。 あれ、なんか良い雰囲気なんじゃ…… そんな甘い気分を打ち消すように、突然扉が大きな音を立てて開いた。 「あ、何してるの?」 そのハスキーな声に振り返ると、サーフボードを手に携え、ウェットスーツに身を包んだ長身の女の子が立っていた。 背中までかかる長い黒髪に切れ長のクールで綺麗な目。かなりの美人でスタイルも抜群だ。 「なんで手握って、見つめあってるのさ。その女のひと、誰よ」 女の子は強い眼光で倉橋さんを睨みつける。 えっ、もしかして。 この人、倉橋さんの彼女とか……!?
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!