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「いやさ、逢沢さんが持つ霊感は、あやかしとの対決にきっと役に立つと思ったんだ。それに、消怪団には女性がいないから、男の僕たちとは違った視点も必要かなと」
「……いいですよ」
「えっ、本当に!?」
「その代わり、報酬としてカメラのこともっと教えてください。私、写真が上手くなりたいんです」
「もちろんだよ。じっくりレクチャーしてあげる。じゃあ、取引成立だね」
そう言うと、にこやかな顔で私に向かって右手を差し出した。
私はその手を握り、固く握手をする。
本音を言えば、私も消怪団に入りたかったのだ。そうすれば、倉橋さんのことをもっとよく知ることができる。
握手をしたまま、なぜかそのままお互いに見つめ合ってしまった。
あれ、なんか良い雰囲気なんじゃ……
そんな甘い気分を打ち消すように、突然扉が大きな音を立てて開いた。
「あ、何してるの?」
そのハスキーな声に振り返ると、サーフボードを手に携え、ウェットスーツに身を包んだ長身の女の子が立っていた。
背中までかかる長い黒髪に切れ長のクールで綺麗な目。かなりの美人でスタイルも抜群だ。
「なんで手握って、見つめあってるのさ。その女のひと、誰よ」
女の子は強い眼光で倉橋さんを睨みつける。
えっ、もしかして。
この人、倉橋さんの彼女とか……!?
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