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玄関で拓海を待っていれば、横を通っていくやつらがオレを見てにやにやする 完全にさっきのことを揶揄われている もぉ、なんなんだよっ! 拓海と植本の喧嘩?に勝手に巻き込まれている 「喧嘩なら、オレを抜きにしてやれよ」 「誰が喧嘩してんの?」 急いできたのか、拓海はブレザーのボタンも嵌めずにオレの隣に立つ 「そんなに急がなくてもいいのに」 「え?」 「ボタン」 オレはそう言いながら、拓海のボタンを嵌めようとしたらそのまま抱きしめられた 「拓海?!」 「ごめん、汗くさい?」 「そうじゃないけど…」 「ちょっとこうしてていい?」 なんだろう 拓海の寂しそうな声に、ここが玄関だから恥ずかしいとかそんなことはどうでもよくなって 拓海の背中に手を当てる 「どうしたんだよ?」 「優ちゃんがさ」 「ん?」 「俺から離れちゃうのかと思って」 「は?」 「植本」 「植本がなんだよ」 「あいつ、今までのやつと違うから」 「何が?」 「優ちゃんのことだよ」 「え?オレ?」 「うん。俺、絶対優ちゃんのこと離さないから」 拓海はオレを自分から少し離すと、顔を近づけて 「俺もマジだから」 そう言うと、オレの額に唇を落とす 「なっ!!」 驚いて拓海から離れて額に手を当てる 「こいういうこと」 「はぁ?!」 余裕な拓海 顔が真っ赤なオレ 「可愛いね」 「ふっふざけんなっ!」 拓海はふふふと笑って 「帰ろっか」 余裕なままの拓海がなんか悔しくて 「まっ待ってあげたんだから、ちっチーズケーキ奢れよ」 「いいよ」 「ロールケーキもな!」 「お姫様の仰せの通りに」 「姫じゃねぇ!!」 オレは拓海にそう言って、先に歩き出した
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