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山田の店を出た帰り道 なんとなく二人とも言葉を出さずに…というか、拓海が無言のままオレの隣を歩いてる 「なぁ」 沈黙が耐えられず、拓海の声を掛ける 「何?」 拓海はこっちを見ずに答える 「なんか怒ってるの?」 「え?」 「だってさ、全然なんも言わないじゃん」 「……」 拓海の袖をくいっと引っ張ってこっちを向かせようとする 「オレ、なんかした?」 そう言って拓海の前に立ち、拓海の顔を見る 「なぁ」 「優ちゃんはさ」 そう言って拓海がオレの目をまっすぐ見る 「あいつのこと、どう思っての?」 「え?」 「植本」 なんで今、植本の名前が出てくるんだろう? 「あいつが何?」 「惚れたって言われたでしょ」 「ああ。あれは冗談だろ」 「え?それ、本気で言ってるの?」 「だって、オレ男だよ」 「男に告白されてるでしょ」 「うっ…それ、言うなよなぁ」 「体育館でも、マジって言われたでしょ」 「うん。でもさ、それって『ボディーガード』のことじゃないの?だってさ、あいつ、そう言ってたもん」 「ホント?」 「そうだって。なのにさ、拓海がなんか訳の分かんないこというから。みんなに揶揄われたじゃん」 拓海はちょっと不機嫌そうな顔をしたオレを見て、ふふふと笑う 「なんだよ」 「可愛いなって」 「だから、可愛くなんてねぇ」 そう言ったのに、拓海はなんか笑顔になって機嫌が直ってる わけわかんねぇ、やつ でも、機嫌が直ったから 「あのさ」 「ん?」 「明日ね、植本と帰るから」 「は?!」 「オレと帰りたいって。なんか、付き合ってもらいたいとこあるのかな?」 そう言うと拓海の機嫌がまた不機嫌になる なんなんだよ… 拓海はオレの肩をぐっと掴むと 「もしもしだよ。あいつに変なことされたら、絶対に俺を呼んでね!」 叫ぶように言われた
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