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その表情を見て、オレは笑顔で
「今日は大丈夫だから」
なぜそんなに拓海がオレのことを心配するのかと言えば
前にオレに振られたやつが逆切れして、体育館の倉庫で襲われそうになり
それをたまたま見つけた拓海に助けられたことがあった
だから、今日もオレを見かけた拓海が心配してきてくれたんだと思う
「今日の子はさ、あんなことしないよ」
「でも」
「オレも男だよ。危なくなったら逃げるから」
そう言うけど、ホントは思い出すとちょっとだけ怖い
だけど、拓海に助けてもらうばっかりじゃダメだと思うから
「でももし、あんなことするやつがいたら、絶対に俺を呼んでよ」
「分かってるって。早く、部活に戻れよ」
笑って言うオレをぎゅっと抱きしめて
「早めに終わらせるから。帰ったら一緒にご飯食べよ」
「うん」
拓海はオレを離すと、オレの頭をやっぱりぽんぽんと叩いて
「真っ直ぐ帰ってね」
そう言うと、ボールを脇に抱えて体育館に走っていく
その後ろ姿を見つめてながら、拓海の触れた頭に自分の手を当てる
「心配しすぎだっての」
少し笑いながら呟いた
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