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「何、食べようか」 今日はどっちの両親とも出かけていて、2人で夕食を食べることになっていた 月一くらいでそんなことがあり、いつもは何も出来ないオレのために拓海が料理を作ってくれるのだが、今日はオレが拓海のために作ってあげたいと思った スマホを見ながら、オレでも作れそうなものが無いかと探していると少し先の方で人だかりができていて何やら騒がしい 「何かあったのかな?」 気になってその人だかりの方へ行けば 「ざけんなっ」 怒鳴り声と共に、一人相手に何人もの男が殴りかかっている 「うわぁ…ひでぇ」 口に手を当てて、殴られてる男の方を見れば、見たことのある制服 …うちの生徒じゃん 完全にやんちゃそうな顔をしている男は、敵意むき出しの表情で何人もの男に向かっている これ、やべぇやつだよな 「おまわりさぁーん!!こっちです!!!」 オレは誰もいない方を向いて、べたな事を叫んでみる べたな事でも効果はあるもので、殴りかかっていたやつらが動きを止めて叫んだオレの方を向く 「ほっホントに呼んだからな!」 震えそうになる身体を必死に抑えながら言えば、男たちはいらっとした顔をしながら人垣から出て行った そうなれば、人だかりも消えていき、残っているのはボロボロになってる男とオレだけ ポケットからハンカチを取り出し、地べたに座り込んでいる男に差し出した
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